2020年5月号
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税理士法人さくら中央会計
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かけはし 2020年5月号
危機を乗り切る資金繰り対処法
飲食業や観光業等で始まったコロナ・ウィルスによる苦境も製造業などに波及し、多くの企業が資金繰りに喘ぎ始めています。今月の回報では、この苦境を乗り切るために特に重要な資金繰りについて、その対処方法をお伝えします。
資金は血液である
「資金は企業にとって血液である。」といわれます。その言葉の通り、人間でもケガなどで多量に失血すると死亡するように、企業でも経営に必要な資金が不足すると、企業生命を絶たれる可能性があります。
危機はいつ解消するか
今回のコロナ・ウィルスによる危機はいつ解消するでしょうか。私は預言者ではありませんからはっきりしたことは分かりません。ただし、「ワクチンは1年以内にはできる。」「その後、景気が回復するのは2〜3年後ではないか」といった予測が飛び交っています。ということは、資金繰りもこの1〜3年を乗り越えることができれば企業経営も維持することができるといえます。
それでは、この1〜3年の資金繰りを回すための手法はどうあるべきでしょうか?
借入金はなるべく多く調達せよ
「借入金はできるだけ多く借りろ?」というと、「支払利息が多くかかる」とか、「借りた金は返さなければならないではないか」といった意見が必ず出ます。
ただし、この緊急事態に対応して
といった理由から、借入金でなるべく多くの資金を調達するのがよいと思われます。
給付金・助成金を有効活用せよ
給付金・助成金は返済の必要がありません。たとえば、営業利益率5%の企業が100万円の給付金をもらうことは2,000万円の売上をあげたことに相当します。コロナ・ウイルスで企業を支援するための、持続化給付金、雇用調整助成金等、もらえる可能性がある助成金は積極的に利用しましょう。
繰り延べられる支払は先に延ばせ
支払は後に延ばせれば資金繰りは良くなります。税金については1年間の納付延長が検討されていますし、前期好調であった業種で予定申告が必要な企業については今期の実績により納税することが可能です。ただし、資金繰りが苦しいからと言って仕入代金の先延ばしを依頼すると、経営状態の厳しさを察知され現金決済を要求されるなどの措置を取られる危険性もありますので注意が必要です。
今はともかく、「生き抜く」ことが最優先すべき経営課題です。
昇らない陽はない。頑張っていれば、必ず明るい未来はやって来る。
不況を乗り越えるために
改めて記載するまでもなく、現在のような経済状況の中で、どうやって行けばよいか四苦八苦のなかにあります。しかも見通しが立たず、経営者の方にはそれこそ夜もグッスリ眠れないほど頭を悩ませていることと思います。
或る社長は、会社を再起させるために次のようなことを行ったそうです。
今更不平不満を云っても始まらないので、こうなった以上はこの状況を受け入れて、今出来ること・今やるべきことを着実にやるしかないと思います。
こんなことに配慮して、知恵をしぼって、不況の中でも自社の特性を探し、磨いて、毎日を真剣に経営することが大切だと思います。
税務通信
新型コロナウィルス感染症拡大防止への対応と
申告や納税などの当面の税務上の取り扱いに関するFAQ
国税における新型コロナウィルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取り扱いに関するFAQが取りまとめられております。下記、抜粋をご紹介致します。詳しくは国税庁ホームページよりご確認下さい。
財産(棚卸資産など)に損失が生じた場合
Q.新型コロナウィルス感染症の患者が発生したことに伴う消毒作業により、仕入れていた食材を廃棄しました。このような場合に、納税の猶予は受けられますか?
A.納税者が財産に災害を受けたことにより国税を一時に納付できないときは税務署に申請を行うことにより、最大で1年間の分割納付が受けられる「納税の猶予」があります。この場合の納税を猶予を受けたときは、延滞税が免除がされます。
事業に著しい損失や著しい売上の減少が生じた場合
Q.新型コロナウィルス感染症の影響で予約キャンセルが相次いだため事業に著しい損失が生じました。このような場合に、納税の猶予は受けられますか?
A.納税者が事業が著しい損失を受けたことや著しい減少があったことにより国税を一時に納付できないときは、税務署に申請を行うことにより、最大で1年間の分割納付が受けられる「納税の猶予」の制度があります。この場合の納税の猶予を受けたときは、延滞税が軽減されます。
納付の猶予制度の必要書類について
納付の猶予制度の適用を受けるためには、猶予の申請書のほか「資産及び負債の状況を明らかにする書類」、「今後の収入及び支出を明らかにする書類」「個別の事情が確認できる書類(納税の猶予の場合)」などを提出する必要があります。
コロナ・ウィルス緊急経済対策 「税制上の特例措置」
コロナ・ウィルス緊急経済対策を受け、税制の面からも企業の財政支援の観点から様々な措置が講じられることとなりました。今回は主な措置について紹介させていただきます。(5月1日現在)
【国税全般】
◎税金の納税猶予の特例
法人税や消費税等の納付は原則として、事業年度終了の翌日から2ヶ月以内と定められています。今回の緊急対策により、令和2年2月から納期限までの一定期間(一ヶ月)において、売上が前年同期比で20%以上減少した場合には1年間納税を猶予することができるようになりました。この場合、本来ならば課税されるはずの延滞税も課されないこととなりました。
【法人税】
◎欠損金の繰り戻し還付の適用範囲を拡大
「欠損金の繰り戻し還付」とは、法人の決算において欠損が発生した場合、前事業年度に納付した法人税のうち、当該欠損金額に対応する部分の法人税額の還付を請求できる制度です。従前は資本金1億円未満の中小法人にのみ適用が認められていましたが、1億円以上の法人にも適用されることとなりました。
◎特別償却の適用
従前より、中小企業経営強化法により該当する機械装置については即時償却(購入時に100%経費処理できる制度)や税額控除が認められていました。今回テレワーク等の推奨を受け、遠隔操作・可視化・自動制御に該当する機械装置についても、この制度の適用が認められることとなりました。
【消費税】
消費税の届出書のうち一定のものについては、原則として課税期間の開始前に提出する必要がありましたが、今回の特例措置では、税務署長の承認を受けたうえで、@課税期間の開始後の申請を認める。A翌課税期間での適用の取り止めを認めることとなりました。
【所得税】
住宅ローン控除の特例において、コロナ・ウィルスの影響により本年末までに入居できなかった場合でも、税額控除期間が13年に延長された住宅ローン控除制度を適用できることとなりました。
【固定資産税】
令和2年2月から10月までの任意の3ヶ月間の売上が前年同期間の売上と比較して、一定割合減少している場合には、一定部分の固定資産税の免除がされることとなりました。ただし、これについては認定支援機関(当事務所はその資格をとっています)の認定が必要です。
売上高が30%以上50%未満減少している場合 ⇒ 固定資産税の2分の1を免除
売上高が50%以上減少している場合 ⇒ 固定資産税の全額を免除
税制以外にも各種給付金などの制度が整備されつつあります。当事務所でも制度の理解や申請方法について情報を入手してまいりますので、ご質問などがありましたら遠慮なくご相談ください。
経営通信 新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ
新型コロナウイルス(COVID-19)による企業への影響を緩和し、企業を支援するための施策をご案内します。