2023年4月号
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税理士法人さくら中央会計
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2023年4月号
得をする給料の金額の決め方
先日、あるところから「節税」についてのセミナーの依頼があり、お話しをしてきました。
本回報のほとんどの方が同族関係者だと思いますので、様々な施策の前に最も基本的な節税策である「給料の決め方」についてお話しさせていただきます。
法人経営と個人経営で異なる給料の決め方
例えば、夫である社長と妻が仕事に従事しているケースで考えてみましょう。(分かりやすくするために話をシンプルにしています。よって、数字は概算です。また、対象となる企業は利益が2千万円以下程度の中小企業です。)
1.法人経営の場合
法人に係る実行税率は約30%です。個人の所得税率は5%〜45%です。給料をとる前の法人の利益が1,000万円とした場合、税金は約300万円です。これを夫が600万円、妻が400万円を給料としてとった場合、法人の利益はゼロになりますから、税金は当然ゼロです。一方、夫の個人に係る税金は約40万円、妻のそれは15万円と計算されます。合計55万円ですみます。
ポイントは、
ア 法人の利益がゼロとなるように給与の金額を決めることがポイント
イ 給料をとれば給与所得控除額もとれ、その分節税となります。個人事業税もかかりません。
ウ 夫と妻の給料については、所得税は累進税率なので両者の金額を同額にするのが最も節税となる金額ですが、社長である夫と手伝いの妻が同額というのも変な話なので、業務や役職等に見合った金額にすることが大切です。
エ ただし、これは利益計算上の話なので、その原資であるお金があるか否かは別問題です。
これに対し、
2.個人経営の場合
個人経営で夫が事業主である場合、妻の給料をいくらにするかがポイントになります。この場合、給料支払い前の夫の利益が1,000万円だとした場合、働きに見合った金額を給料として決めます。
ポイントは、
ア 青色申告で妻が専従者であれば、専従者給与をとれますが事前の届け出が必要です。
イ 夫は給与ではないので給与所得控除額をとることはできません。個人事業税もかかります。
3.在職老齢年金を考える
65歳以上で年金を受給されている場合、給料と厚生年金の合計額が48万円を超える場合には、超える金額の1/2の年金額がカットされます。これを在職老齢年金と言います。
せっかく、長年かけてきた年金ですから満額の支給を受けたいものです。その場合、給与の支給に変えて退職金の支給を受けたり、会社への貸付金の返済を受けることにより、年金の満額の受給を受けながらも生活資金に困らない状況を生み出すことが可能となります。
給料は毎月発生するものです。月々の金額は少なくとも、長きにわたる支給の違いにより、多額のメリット・デメリットを生じさせることとなります。
企業の利益状況や年齢、家族構成等により手法や金額が異なってきますので、関心がある方は是非とも当事務所にご相談ください。
税務通信 電子帳簿保存法について
令和6年1月から、電子帳簿保存法に対応する必要が出てきました。今回は、その内容について見ていきたいと思います。
電子帳簿保存法ってなに?
この法律自体は、平成10年から施行されていますが、近年の改正によってその内容が大きく変化しました。
それは、電子取引データの保存についてです。令和5年12月までは、電子取引データを紙に印刷し、それを証拠書類として保存することが出来ました。しかし、令和6年1月からは、電子データをそのまま保存する事が必要になり、紙に印刷したものは、証拠書類として取り扱われない事になります。
どうやって保存するの?
電子帳簿保存法による保存区分は、大きく3つに分けられます。
@電子帳簿保存・・・会計帳簿や決算関係書類などを電子データのまま保存する
Aスキャナ保存・・・紙で受け取った請求書や領収書をスキャンして保存する
B電子取引データ保存・・・今まで紙で受け取っていた請求書などを、電子請求書などで受け取る事となった場合、そのデータを保存する
@とAについては、事業者の選択により、紙での保存を選ぶ事が出来るため、今まで通りでも構いません。
しかし、B電子取引データ保存については、令和6年1月以降対応が必要となります。
電子取引データの保存要件
電子取引データの保存方法には、4つの要件があります。
@システム概要に関する書類(マニュアルなど)の備え付け
A見読可能装置(パソコンのディスプレイなど)の備え付け
B検索機能の確保(取引月日、取引金額、取引先の検索)
Cデータの真実性を担保する措置(タイムスタンプシステムなどの導入)
これらの要件をクリアするには、システムの導入といった方法や、エクセルなどで検索簿を作成した上で、国税庁のHPにある「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」(URL:参考資料(各種規程等のサンプル)|国税庁 (nta.go.jp))を活用する方法があります。
令和5年度税制改正で多少の緩和措置がありますが、なるべく当初の規定通りに運用できる様に準備するのが良さそうです。
林 明彦